最近では憲法改正が話題になっていますが、
憲法改正は最終的には国民投票によって、国民の判断で決められることになりますので、
憲法について今のうちから充分に理解を深めていただければと思います。
ここではちょっとした短編小説並みの長さになりますが、
憲法の前文をできる限り分かりやすく解説したいと思います。
憲法の前文の良さを理解していただけると思います。
中には人類普遍原理や、人間相互の関係を支配する崇高な理想など難しい言葉もありますが、
そうした言葉については私の個人的な解釈になりますが、ここで解説したいと思います。
憲法改正の前に知っておきたいこと 日本国憲法の前文を分かりやすく解説 国民主権と民主主義について
(出典「photoAC」)
まず最初の文章から見ていきたいと思います。
「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、
われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、
わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢(けいたく)を確保し、
政府の行為によつて再び戦争の惨禍(さんか)が起ることのないやうにすることを決意し、
ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」
これを詳しく解説しますと、
「正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」という部分では、
私たち日本国民は、選挙で選ばれた政治家を通して、国家として行動することが書かれていて、
民主主義について触れられています。
また「ここに主権が国民に存することを宣言し」という部分では、
国民主権であることが宣言されています。
国家は、権力者など一部の人のためにあるのではない。
国家とは、全ての国民のために存在するものであるはずだ。
国民主権には、そうした意味があるのだと個人的には考えています。
次に「われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、
わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢(けいたく)を確保し、」という部分は、
この文章の最初には「日本国民は」という主語があり、その日本国民が確保するのは、
「諸国民との協和(良好な関係を築くこと)による成果」と
「わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢(=恩恵)」で、
この二つは、諸外国との関係で得られるものと、国内で得られるものが分けて記載されています。
「諸国民との協和による成果」としては、平和と貿易による経済的な利益が挙げられます。
また「わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し」という部分は、
分かりやすいと思いますので、説明は省略させていただきますが、
憲法の条文にも個人の自由についての記載があり、自由主義の考えが見て取れます。
ただ自由をみだりに用いてはならないことが、
憲法第12条に記載されていることはご存知のことだと思います。
ですので私たち日本国民は、選挙で選ばれた政治家を通して国家として行動した上で、
諸外国との関係では「諸国民との協和による成果」、
国内では「自由のもたらす恵沢」の2つを得ることと、
「戦争の惨禍が起ることのないやうにする」ということを、
また私たち日本国民は、国民主権を宣言して、この憲法を確定することが記載されています。
憲法の前文の最初の文章をまとめますと、以下のようになります。
「私たち日本国民は、正当に選挙で選ばれた政治家を通して国家として行動した上で、
私たちと私たちの子孫のために、諸外国との良好な関係を築き、
平和と貿易による経済的な利益と共に、国内全土にわたる自由の恩恵を確保し、
政府の行動によって、再び戦争の悲劇が起こることのないようにすることを決意すると共に、
私たち日本国民は、ここに主権が国民に存在することを宣言し、この憲法を確定する。」