消費税の逆進性の問題点とは?対策は軽減税率?税額控除?

消費税には逆進性があると言われています。

つまり収入の低い人にとって不利で、

お金持ちには有利な働きがあると言われています。

それはなぜなのでしょうか?

ここでは消費税の逆進性についてご説明していきます。

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消費税の逆進性とは?


(出典「photoAC」)

まず年収が200万円のAさんと、

年収が1000万円のBさんがいたとします。

Aさんは収入が高くありませんので、あまり貯蓄もできないと思われますので、

ここでは年収の200万円を1年間で全て使ってしまうと考えていきます。

一方、Bさんは年収が高いですので、一定程度はお金を貯めることができるはずで、

ここでは20%の200万円を貯蓄に回せることにします。

なので年間では、800万円を使う計算になりますね。

ちなみに消費税は分かりやすいように10%とさせていただきます。

ではAさんはいくらの消費税を払うのかと言えば、

年間で使うお金は、200万円

消費税10%なので、消費税額は20万円。

収入も200万円ですので、収入に対する税率を考えると、

20万円÷200万円=10%となります。

一方のBさん。

年間で使うお金は800万円で、

消費税は10%なので、消費税額は80万円。

収入は1000万円になりますので、収入に対する税率は、

80万円÷1000万円=8%

以上のように収入に対する税率で考えれば、

収入の低いAさんは10%で、収入の高いBさんは8%になってしまいます。

そう考えると、やはり消費税には逆進性があることになります。

消費税の逆進性対策は?軽減税率

このように消費税には逆進性という問題がありますが、

この逆進性の対策は何があるでしょうか?

一つには軽減税率があると言われていて、これは2019年10月に消費税が上がる際に日本でも導入されます。

これは商品やサービスなどによって、消費税率に違いを設定するもので、

日本の場合、食料品や新聞には従来通りの8%の消費税が、

その他には10%の消費税が導入されることになっています。

(ちなみに食料品の中にはお酒は含まれませんし、外食も含まれません。

 詳しくは国税庁の軽減税率のページをご覧ください。)

国税庁ホームページ 消費税の軽減税率制度について

ただこの軽減税率には、問題もあると指摘されています。

仕組みが複雑になることもあり、

日本で導入される軽減税率では、お店で食べるイートインでは消費税は10%になりますが、

テイクアウトしたり出前にすると、消費税は8%になります。

お店側もこうした仕組みに対応するのに、コストや時間をかける必要が出てきますし、

今後は各種業界団体が、自分たちの商品やサービスも軽減税率の対象にして欲しいと、

政治的な活動につながっていくとも指摘されており、

そうすると今後の消費税は、まだ制度の変更があるのかもしれません。

消費税の逆進性対策は?給付つき税額控除


(出典「photoAC」)

また消費税の逆進性対策としては、

給付つきの税額控除という方法もあると言われています。

これはまず一定の収入がある人に対して、

税金(例えば10万円)を減額することができるようにした上で、

収入が低くて納める税金が低い人(例えば5万円の税金を納めた人)が、

先ほどの10万円を控除しきれない場合に、

差額の5万円が現金で支給される制度です。

この方法は消費税の逆進性の対策だけではなく、

働く意欲を刺激したり、少子化対策としても海外で活用されているそうです。

この仕組みの問題点としては、

収入の低い人の実際の収入についてきちんとした情報がないと、

いくら給付したら良いのか、その点が分からないこと。

また収入について、それぞれの人が申告する方式にすると、

不正に給付が支給される可能性がありますし、

一人一人を税務調査すると、事務負担やコストがかかりすぎる点が指摘されています。

また実際に導入されている国では、不正給付の問題が大きな問題となっているようです。

ただこの点に関しては、全ての人に一定額の給付(または税額の減額)をする形を取れば、

システムが複雑になったり、コストがかかりすぎる点は解消されると思います。

そうすると裕福な方にも恩恵が及びますが、

収入に対する税金の負担割合で見ると、逆進性は解消します。

先ほどの例をもう一度上げていきます。

消費税は10%。

年収が200万円のAさんは、消費税を20万円を支払いますので、

年収に対する消費税の割合は10%。

一方、年収1000万円のBさんは、消費税を80万円支払いますので、

年収に対する消費税の割合は8%でした。

ここでどちらの人にも5万円の給付(または税金の減額)を行うとします。

年収が200万円のAさんは、消費税に関しては20万円-5万円=15万円を支払いますので、

これを年収で割ると、15万円÷200万円=7.5%となります。

一方、年収1000万円のBさんは、消費税に関して80万円-5万円=75万円を支払いますので、

これを年収で割ると、75万円÷1000万円=7.5%となります。

このように同じ金額の給付や税金の減額を行っても、逆進性は解消されることになりますので、

仕組みのシンプルさを考えると、この仕組みが良いようには思います。

終わりに

消費税は取っぱぐれがないと言われていますし、

社会保障の費用をまかなうために、消費税の増税が必要だとも言われています。

ただ逆進性のある消費税を単に上げるだけでは、

収入の低い人にとって負担が増すことになってしまいますし、

そのために軽減税率や給付つきの税額控除が対策として考えられています。

個人的に思うのは、少子化が進んでいく世の中では、

制度を簡素化して、仕組みの運用に必要な人数を減らしていくこと。

そのことで経済活動に従事できる人を多くすることは、

今後の日本に必要な方向性のように思います。

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