北朝鮮は核実験やミサイル実験を繰り返していますが、
北朝鮮が核実験やミサイルに固執する理由は何なのでしょうか?
ここに至る過程を知ると、そこに固執する理由があるように思えますが、
南北統一のため、と指摘する専門家もいます。
ここでは北朝鮮が核実験やミサイルに固執する理由を見ていきたいと思います。
目次(複数ページに分かれた記事もあります)
北朝鮮が核実験やミサイル実験を繰り返す理由
(出典「photoAC」)
1950年に始まった朝鮮戦争は、1953年に休戦協定が結ばれましたが、
この休戦協定は停戦状態であるだけで、国際法上は今でも戦争状態が続いています。
まずこの認識から始めたいと思いますが、
そうした状態の中で1992年に中国は、北朝鮮にとって敵である韓国と国交を樹立したため、
北朝鮮から見ると中国は裏切者になると専門家は指摘しています。
中国が韓国と手を結んだことで、北朝鮮は中国がアテにならないと考えるようになり、
そこから核実験を始めるようになったと言われています。
またリビアのカダフィ政権が核放棄を宣言して、その後に空爆されたことから、
先制攻撃されないために、核開発を続ける姿勢をかたくなに持っていると言われています。
確かにリビアは国連軍からの空爆を受けることになりましたが、その前にリビアでは反体制デモが起こっていました。
その時にリビアのカダフィ政権は精鋭治安部隊で弾圧を強め、「一人残らず皆殺しにする」とまで公言していて、
そのためにNATO軍が人道的な介入を行うということで、国連の安保理決議が採択されたことは付け加えておきたいと思いますが、
そのために核開発を放棄するわけにはいかない、という思いを強くしたと指摘されています。
アメリカとの戦争状態が続いている中で、先制攻撃をされないために、
核を持たなければいけないと考えているのが北朝鮮という国で、
核を持つことは、いわば北朝鮮(現体制)の生き残り戦略と言えます。
核による南北統一の狙い
(出典「photoAC」)
また核開発は、先制攻撃されないためという目的以外に、
北朝鮮としては、核による南北統一を狙っていると指摘する専門家もいます。
朝鮮戦争も、元々は北朝鮮側が武力によって南北を統一しようとして始まった戦争ですし、
2013年に北朝鮮は、休戦協定に効力はないと主張しています。
休戦協定を破棄する裏には、攻撃の意図が見て取れますし、
北朝鮮としては、武力による南北統一を実現して、
現体制の支配を、朝鮮半島全域に及ばせることが目的なのかもしれません。
また朝鮮半島で何か起こった場合にアメリカは手出しをしない、という条件を飲ませたいと指摘する専門家もいます。
そんな要求をアメリカに飲ませるために、核やミサイル実験を繰り返しているのかもしれませんし、
その上で南北統一を狙うというのが北朝鮮の狙いなのかもしれません。
平和な日本に暮らしていると、国境を武力で変えようとすることは考えられないことかもしれませんが、
これまでの歴史では、国境が武力で変わってきたことも確かで、
これからもそうした事態は起こり得ると思いますし、
守るため、またはそうした野望が北朝鮮の狙いだとすれば、
北朝鮮が核を放棄することは現実的には考えにくいことになります。
高まる朝鮮半島の緊張
北朝鮮は核を放棄せず、またミサイル実験を繰り返す中で、徐々に朝鮮半島の緊張は高まっています。
もしも北朝鮮が韓国を武力攻撃したとすれば、現在の韓国の優れた経済がダメになりますし、
朝鮮戦争が起こった1950年とは、韓国の経済状況が大きく異なることは確かで、
武力による統一を北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)体制が成し遂げたとしても、疲弊した経済を抱えることになりますし、
朝鮮半島の経済全体が落ち込んでしまうことは、朝鮮半島の誰もが望まないことのように思えます。
またアメリカも中国も、戦争を望んでいるとは思えませんが、
韓国が攻められれば、韓国と同盟を結んでいるアメリカがそれを黙って見ているはずはありませんし、
そこから大国を巻き込んだ戦争になると思われます。
→アメリカと北朝鮮の緊張 戦争の可能性は?アメリカと中国の本音
こうしたそれぞれの思惑が異なる中で、今のこの状況は長引くと思われますが、
このままそれぞれが強硬な姿勢を示し続けていき、北朝鮮のミサイル開発が進んでいけば、
アメリカが本気で動き出す破局ポイントが、いつか訪れる可能性は否定できません。
個人的には軍事的にも優位にある段階で、アメリカは本気になるとは思いますが、
それは北朝鮮のミサイルがアメリカ本土を射程にする前なのかもしれません。
また北朝鮮は中国にとっても扱いづらい存在になっていますし、
核のドミノ(韓国、日本も核を持つこと)を中国は望まないと言われますので、
アメリカと中国は、現在の北朝鮮の金正恩政権は不要、という点では一致するかもしれません。