日本国憲法の基本的人権の条文は重複?改正前に知っておきたいこと

日本国憲法には、基本的人権に関する条文が二つ記載されています。

その二つの条文は重複しているのでしょうか?

その二つの条文が存在するには理由があるのでしょうか?

ここではまず基本的人権を簡単に振り返ると共に、二つの条文を見ていただき、

日本国憲法の中に、基本的人権に関する条文が二つ存在する理由について見ていきたいと思います。

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憲法改正の前に知っておきたい日本国憲法 基本的人権の条文は重複?基本的人権とは


(出典「photoAC」)

まず基本的人権というのは、

人は生まれながらにして、人間らしく生きる権利を持っていることを意味します。

また私の個人的な考えになりますが、それは誰でも心の奥底に抱えている、

「一人の人間としてきちんと扱われたい」という願いだと思いますし、

日本国憲法の前文にも、記載されていると個人的には解釈しています。

それは次の文章になります。

「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免(まぬ)れ、

 平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」

ここに書かれている「権利」は、基本的人権を意味していると考えらえますし、

基本的人権の具体的な内容は、日本国憲法の第3章に記載されています。

憲法改正の前に知っておきたい日本国憲法 基本的人権の条文は重複?その二つの条文とは

日本国憲法で「基本的人権」が書かれている条文は二つあり、

それぞれを振り返りたいと思いますが、

まず「第10章 最高法規」の中では、

この憲法が日本国民に保障する基本的人権は

 人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、

 これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、

 侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」

(憲法 第97条)と記載され、

また「第3章 国民の義務と権利」の中では、

「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。

 この憲法が国民に保障する基本的人権は

 侵すことのできない永久の権利として現在及び将来の国民に与へられる。」

(憲法 第11条)と記載され、黄色のマーカーの箇所が同じ文言で構成されています。

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憲法改正の前に知っておきたい日本国憲法 基本的人権の条文が二つ存在する理由

一見すると基本的人権のほぼ似たような条文が、憲法の中に記載されていますが、

「第10章 最高法規」は、先ほどの第97条の他に、以下の条文で構成されています。

第98条 この憲法は国の最高法規であり、この条規に反する法律などは効力を有しないこと。

第99条 天皇や政治家、その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務があること。

条文の内容は分かりやすく簡略化しましたが、

この第10章の内容は、この憲法全体にわたる根本的な考えが示されていると考えられます。

その第10章の先頭に、この憲法が基本的人権を保障することが書かれ、

次にその憲法が最高法規で、他の法律の上位に位置していることが、

その次に、その憲法を尊重し擁護する義務があるのは、

天皇や政治家、その他の公務員であることが、

この順番で記載されていることに、私は個人的に大きな意味を感じています。

基本的人権を保障する憲法だからこそ、

この憲法が最高法規であり、他の法律よりも上位に位置していると考えられますし、

基本的人権を尊重する憲法だからこそ、

この憲法を天皇や政治家が、尊重し擁護する義務があると書かれているのだと考えられます。

例えばこの第97条がなければ

憲法が最高法規である意味や、他の法律より上位に位置する意味、

またこの憲法を天皇や政治家が尊重し擁護する義務があることも、

なぜそうなのか、という背景は分からなくなってしまいます。

ですのでこれは重複しているのではなく、第10章にある第97条は、

日本国憲法は「基本的人権を保障する」という、憲法全体にわたる基本姿勢や、

この憲法の立ち位置(どういう視点から、何のためにこの憲法が存在するのか)を表していて、

この第97条がなくなると、権力者を縛るものという意味での憲法は、

骨抜きになるような印象も、個人的には受けてしまいますし、

それだけ重要な条文だと考えます。

そしてその基本的人権についての詳しい内容が、第3章に書かれていて、

第3章にも、基本的人権に関する第11条の記載があるのは、

そこから基本的人権の、具体的な説明が始まるためだと考えられます。

終わりに

この他に憲法について書いた記事はこちらになります。

憲法とは何か 憲法と法律の違いと憲法に書かれている内容

日本国憲法 基本的人権の条文は重複?二つの条文が存在する理由とは

憲法がこれだけ基本的人権を重要視するのは、憲法 第97条にも記載されていますが、

「基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、

 これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ」たことが記されています。

少し細かい話になりますが、その後の文章は、

「現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」

このつながりとして、

「これらの権利は、過去幾多の試練に堪えた結果として

現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」

だと個人的には考えています。

これまでの歴史を振り返っても、権力者が横暴に振舞うこともあり、

ひどい仕打ちを受けてきた人たちが大勢いた中で、

ヨーロッパからようやく芽生えてきたのが「基本的人権」という価値観です。

私たち、今を生きる人たちがこの価値観を後の世に継承していくことで、

これまで犠牲になった方々の魂は、浮かばれるのかもしれません。

少なくとも犠牲になった方々の死を、無駄にしないことにつながると思います。

だからこそ、憲法 第97条には、

「基本的人権は・・・・現在及び将来の国民に対し、

 侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」

基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、

私たちに信じて託されたものだと書かれているのだと思います。

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